株価を予測するためのファンダメンタル分析に必要な経営指標はコレとアレ

株式投資をする上で大切なのは、チャートを読む事と、投資しようとする企業の財務を把握することだと思うのです。
また、自分の経験から言うと、財務の数字が分かると、経営に詳しくなります。
もうかれこれ20年以上前から言われているけど、営業に必要なリテラシーは財務諸表を読める事、というのがありました。
でもですね、営業をやっているだけだとさすがに財務を読むってことはあまりないです。
株式投資が趣味であって、わりと勉強している人であればひと通りの経営指標は理解している事でしょう。
ここでは財務諸表で何を見たらいいか、どのような意味があるのかを解説していきます。

財務分析の基本は4つのみ

投資家や銀行などの立場によって重視する指標は変わってきますが、経営状態を知るには大ざっぱに考えて、4つの基本を押さえれば大丈夫。

1.収益性
2.安全性
3.成長性
4.投資水準(株価との関係)

収益性は、その企業がどの程度利益をあげる力があるのか、毎年ビジネスは伸びているのか、利益はどうなのか、を知る事です。
売上げは毎年上がっているけど、利益が上がっていない事は成長期の会社ではよくあります。
借入によって運転資金を賄っているような会社は、シェア拡大のために投資を増やしているとみる事ができますが、財務諸表を見ればそれが分かります。
売上げが下がっているけど、逆に利益が上がっている企業がありますが、利益を上げる事は経営効率が良いという事なので、売上げが上がれば自然と利益も拡大します。

安全性は、経営において財務リスクがない事が重視されます。
よって、有利子負債の水準にフォーカスがあてられます。
借金、いわゆる借入はどの企業でもありますが、そのレベルは経営状況によって変わってきます。
有利子負債は、主に資産を増やす事に使われ、設備投資のように資産を増やして収益を上げるために使われます。
収益が上がらなければ、借入金を返せない事態になりますから、貸す方は収益がちゃんと上がっているか、借金と利益の比率をウォッチします。

成長性は、売上げの伸び、営業利益の伸びをみますが、これは対前年比や前年同期比などで判断します。
なので、財務諸表は過去の比較ができるような様式が望ましいです。
もっとも通常は主要な会計項目については、過去3年や5年が比較資料として有価象形報告書(財務諸表)に記載されています。
また、過去の決算資料(有価証券報告書)は金融庁のEDINETなどに公開されていますから、上場企業であれば閲覧可能です。

→ EDINET

投資水準は、現在の株価が割安か割高か、をみる指標になります。
割安だから株価があがるか、といったら必ずしもそうじゃないんですよね。
あくまでも純利益や総資産などの数字からみて、現在株価が割高か割安か、実際には決算時の数字で計算します。
参照される株価は、本来決算時の株価ですが、多くの場合は現状の株価を見ていきます。

収益性の指標

収益性を見る指標は以下がメジャーです。

・ROA(総資産利益率)
総資本を使ってどのくらいの純利益を稼いだのかを見ます。
在庫や設備を使って、商品を作って販売して、利益を上げていきます。
資産に比べて純利益がどの程度あるのかを見ていきます。
数字が大きければ大きいほど、現有資産で稼いだ利益が大きいとなります。

・ROE(株主資本利益率)
株主資本とは、他人のお金、つまり出資者のお金でどの程度の純利益を稼いだのかを見ます。
社長が創業者なら、株主資本に自分のお金が入っているだろうけど、他人が出資してくれているお金も多く入っています。
この株主出資の資本に比べて、純利益がどの程度あるのかを見ていきます。
数字が大きければ大きいほど、株主資本で稼いだ利益が大きいとなります。

・売上高営業利益率
当期の売上げのうち、営業利益がどの程度かを見ます。
営業外利益というのがあって、例えば土地や証券の売却益などが計上されます。
本業から上がってくる利益ではなく、多くの場合は一時的な収益です。
営業利益はその会社の本当の稼ぐ力を見る事ができます。
数字が大きければ大きいほど、本業で稼いでいると見て取れます。

安定性の指標

・自己資本比率
貸借対照表(B/S)の純資産が総資本にどの程度占めているのかを見る指標です。
B/Sの右側には、負債と株主資本などの純資産があります。
負債はあればあるほど経営の安定性が低くなり、純資産があればあるほど安定性があると見なされます。
つまり、総資本に占める純資産が大きければ、経営に安定性が高いことになります。
数字が大きければ大きいほど、借入が少なくて済む状況を示しています。

・負債比率
負債には固定負債と流動負債があります。
企業が借入をすると、利子を払わなくてはなりません。
いわゆる有利子負債となり、通常は複数年で借り入れる資金、つまり固定負債となります。
企業を清算する時、負債などの他人資本の清算に優先権があり、その次に株主資本となります。
よって負債比率が大きいと、株主が回収できる資本が少なくなります。
有利子負債が自己資本の何倍あるのか、数字が大きければ大きいほど安定性が欠けると見なします。

・有利子負債対月倍率
月商は当期売上高を12ヶ月で除して、1ヶ月の売上高を計算し、有利子負債を割ります。
月の収入に対して、どの程度の負債となっているのかを見ます。
例えば計算した結果倍率が、100倍と出ると約8年ちょっとで返済すると考えます。
1000倍となると80年ですから、本業の収入で返していくには負債が大き過ぎると判断します。
この数字は低ければ低いほどいいと見なします。

・有利子負債対営業キャッシュフロー倍率
有利子負債対月商倍率と同じ概念で見る指標ですが、こちらの方がよりシビアです。
営業キャッシュフローは、手元に残る現金を見ますから、ローン販売などすぐに現金にならないお金は入っていません。
よって、当期に手元に残る現金の何倍の借金があるのかを見る事となります。
この数字も小さければ小さいほどいいと見なします。

・売上高営業キャッシュフロー比率
営業キャッシュフローを売上高で除して数字を求めます。
売上が上がったとしても、ローン販売が多いと、当期の現金は少なくなります。
ローンが多いという事は、それだけ回収リスクがあるということです。
この数字は大きければ大きいほどいいと見なします。

成長性の指標

・売上高伸び率
この数字は昨年度比、あるいは昨年同期比で現在の数字を見ていきます。
売上げが伸びているという事は、会社が成長していると言えるので、数字が大きいほどいいと言えます。
ただし、成長している反面、広告費や設備投資で費用が大きくなり、利益を圧迫することも発生するので、売上高伸び率のみで判断は禁物です。

・営業利益伸び率
本業の利益を、昨年度比、あるいは昨年同期比で現在の数字を見ていきます。
売上高には営業外利益が含まれているので、単年度で伸びたとしても、本業が伸びたのかどうか確認が必要です。
伸び率が大きいほどいいと見なされますが、できれば3年から5年程度の数字で比較すると会社の成長の軌跡が分かります。

投資水準の指標

・株価収益率(PER)
株価が1株当たりの利益の何倍かを計算します。
PERは過去との比較、同業他社との比較が必要です。
また、現在株価を参照して、決算時の1株当たりの利益で除していくので、財務分析的には正確な株価水準を反映していません。
あくまでも投資指標としての比較数字として見るのがいいかもしれません。
この倍率が高ければ高いほど、現在時点の株価は割高だと見なされます。

・株価純資産倍率(PBR)
株価が1株当たりの純資産(BPS)の何倍かを計算します。
PERと並んで、最近は割とよく参照される指標となります。
現時点での株価を参照して、倍率が高ければ高いほど、株価水準が高いと見なされます。
もともとは純資産の簿価に対して、業界平均の株価を参照して企業価値を算出する意図があります。

・株価キャッシュフロー倍率(PCFR)
株価が1株当たりの営業キャッシュフローの何倍かを計算します。
PBRは自己資本(純資産)で株価水準を判断するのに対し、こちらは営業キャッシュフローを見ます。
こちらも倍率が大きければ大きいほど、株価水準が割高だと見なされます。
最近よく参照される数値となっていますが、同業他社との比較をもって判断する指標です。

指標のまとめ

例えば、社長になる、経営コンサルタントになる、経営企画に配属される、財務部に配属される、というのがなければ、経営の数字は細かく見るチャンスは皆無でしょう。
でも、株式投資で会社の財務を分析するには、収益性、安定性、成長性くらいしか参照するものはありません。
営業職で相手企業の弱点や強化すべきポイントを財務数字を元に提案するのであっても、正直、株式投資のファンダメンタル分析程度で事足ります。
あとはマーケティング分析や経営戦略の分析手法を使った方がよりお客様には響くでしょう。

とはいえ、数字で語れば説得力も増すし、お客様も自社分析をしっかりした上での提案だということで、聞く耳を持ってくれるでしょう。

株式投資を通じて、経営の数字に強くなるのは、むしろ普通のサラリーマンには得になる事だらけだと思いますよ。

株式投資の初心者はぜひ読むべき!!

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